昨年からこの春にかけて先輩、知人、友人、恩人などお世話になった方たちが天に召され…小生もそろそろと思い、身辺整理をするため段ボール箱に詰め込んであったインテリアの協会や、発行していたインテリア情報誌の資料や原稿を懐かしく思い、一つ一つ調べていたところ、どこで使用したか思い出せない、小生の手書きの原稿が出てまいりました。(ひょっとするとボツになった原稿の可能性も・・・)
文章の内容から昭和60年頃のもののようです…薄茶色に汚れフチが破れ鉛筆書きのため所々消えかかっており、何と無く当時名古屋飛ばしという言葉が流行った昭和の香りが漂っています・・・
あれから40年ほど経っており、業界関係者の方はきっと、何を今更と思われるに違いありませんが、これからその道を目指される方たちの少しでもお役に立つならばと恥を忍んで、ご紹介いたします。(天の声:何年たっても相変わらず大袈裟な奴やの~🤡ほんま、時代劇映画の見過ぎやないけ!!前置きはその辺にして見てやるさけ…早うやんなはれ・・・)
かなんな~ハイハイ(ハイは一度や!🐸)
昭和60年頃の話です・・・
《インテリアコーディネーターの役割》
インテリアコーディネーター hana kakikura
住宅、モデルハウス、ショップ、ショールーム、オフィス等のインテリアコーディネート・デザインに携わる
インテリアコーディネーターという言葉が定着しはじめてやっと数年、いったいどういう仕事なのか?一般の方にはまだまだ理解されていないのですが、職業としては12~3年前からインテリアデコレーター、インテリアアドバイザーの呼称で首都圏を中心にごく一部ではありますが成立してきました。
住宅販売会社、デパート、家具、ファブリックスのショールーム、販売店などでインテリアデザインやコンサルタントの業務に携わってきたわけです。
設計士や大工さんの作ってくれる家は、形や機能が先行し楽しく快適な住まいとは程遠いということをよく聞きます。
フリーハンドスケッチパース ダイニングキッチン
家具の配置、作業動線、管理のし易さなど、その家を使いこなす人間の生活を思いやる濃かな心配りが欠けているからです。インテリアエレメント、カラースキム、照明計画にもそれぞれの家庭のテイストに合ったものが選ばれているでしょうか?
個性化が進みそれぞれのライフスタイルを大切にする時代なのに、画一的な家造りがされたのではユーザー(生活者)は、満足しません。その上、ユーザー(生活者)の方も自分のニーズが正確に掴めず、断片的なイメージをどう表現してよいのか判らないので、不平不満を持ちながら任せてしまうケースが多いようです。
どうしてこういうことになるのでしょうか⁉
金沢 つば甚 床柱は『ざくろ』です
元来インテリアそのものが家具なしで生活できた日本の住宅では、戦前の『しつらえ』は一家の主(あるじ)の役割とされていました。季節の変わり目に床の間の掛け軸を替え、調度品を整える、夏には建具を外し、簾や葦戸で涼しさを演出し、暮れには新しく張り替えられた襖や畳の上で、正月の飾りつけを楽しんできました。
新潟旧齋藤家別邸 雪景色
新潟旧齋藤家別邸 秋には庭の紅葉と室内は一体となる
木と紙と土で作られた家は開口部が多く、庭の自然は室内と一体となり簡素で精神的なインテリアデザインだったのです。ところが戦後40年もたった現在、住宅事情は急激に変化してきました。生活も複雑化し洋間中心の家が多くなりました。
洋風の住まいの『しつらえ』はどのようにしたらよいのか、知識も経験も十分ないのに、住空間を何とかしなければならなくなったのです。インテリアに興味のあるユーザー(生活者)はショールームを廻ったり、本を読んだりして一生懸命知識を得、感性を磨いて勉強しているのですが、市場に出ている全商品の性質や価値を知ることは極めて難しく、流通も複雑で途方に暮れているようです。
それぞれの商品についての相談窓口はあっても、トータルインテリアとなるとどこへ相談してよいのかわからない、そんなユーザーニーズに応えてインテリアコーディネーター(和製英語)という新しい職業が生まれてきたのです。
和洋折衷のリビング syunsuke takase
住まいの一部屋をアロマテラピーサロン オリエンタルなデコレーション matumoto
すなわち「インテリアコーディネーターの役割」は、それぞれの家庭の家族構成、ライフスタイル、趣味趣向など諸条件を的確につかみ、ユーザー(生活者)の希望を入れながら、豊かな空間のイメージを創り、生活提案をし、それを実現へと導くことにあります。
ただインテリアの上っ面をいじるのではなく、住む人の感性、知性を理解し、人間としての生き方に共鳴してこそ、より良き住空間を創ることが出来るのです。
窓 イギリス ロンドン郊外「レッドハウス」
窓 スペイン バルセロナ「カサ・バトリョ」
窓 日本 東京都 紫陽花の見える6月の窓
インテリアコーディネーター草創期のお話でした。これからインテリアコーディネーターを目指される皆様のご参考になればと願っております・・・
参考資料
昭和58年に社団法人インテリア産業協会において第1回のインテリアコーディネーター資格試験が東京と大阪で実施されましたが、それ以前にインテリア産業協議会として活動していた頃のお話を少しだけいたしますと、同協議会専門委員会には幾つもの委員会が作られ、小生は色彩委員会(委員長は、経済産業省(旧通産省)・国立研究所の日原もとこ氏)と人材育成委員会(委員長は、武蔵野美術大学 島崎 信教授)に所属しご指導ご鞭撻をしていただきました。その他に、オブザーバーとして資格委員会等に顔を出したりしておりました。
当時、日原もとこ氏は専門委員会の委員長として全ての委員会の取りまとめ役をされておられました・・・
現在標準化され誰でもが使用できる、インテリアコーディネーターのインテリアコーディネート(カラーコーディネート)システムのコンセプトは、日原もとこ氏によって創られたものであります。
40年以上前の話なのでその資料は処分されたと思っておりましたところ、日本色彩学会にて発表された手書きの論文データが経済産業省(旧通産省)の国立図書館デジタルコレクションに保存されていたのには諦めかけていただけに…地獄に地蔵菩薩を見つけたようでした。
添付資料ご参照ください。
国立国会図書館デジタルコレクション
業界用語分類によるインテリアのタイプと色彩分析
日原,もとこ (日本色彩学会, 1980-05-01) 掲載雑誌名:日本色彩学会誌. 4(3)
業界用語分類によるインテリアのタイプと色彩分析(2) (第15回全国大会特集号)
日原,もとこ (日本色彩学会, 1984-04-30) 掲載雑誌名:日本色彩学会誌. 8(1)
東北芸術工科大学名誉教授
風土・色彩文化研究所主宰
日原 もとこ
プロフィール
東北芸術工科大学名誉教授、広島県出身。女子美大卒。61年通産省工業技術院産業工芸試験所技官。豪州国メルボルン王立工科大学政府派遣研究員。帰国後製品科学研究所主任研究官を経て92年東北芸術工科大教授就任。専門は環境色彩学。このほか風土・色彩文化研究所を主宰、県建築サポートセンター社長、アジア文化造形学会初代会長、日本デザイン学会及び日本インテリア学会名誉会員。著書、訳書に色彩療法(単行本)テオ・ギンベル(著)日原もとこ(翻訳)等…ライフワークは『紅花』並びに環境色彩の調査・研究。
『まんだらの里』に生涯を捧ぐ!(合掌)
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(順不同・敬称略)
国立図書館デジタルコレクション 〒619-0287 京都府相楽郡精華町精華台8-1-3
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 電話: 03-3501-1511
※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
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