工場デザインの個性化を図ろう！
日本では工場を美しくするとビジネスに差し障ると言う 何故か？
儲かっていると見られ製品値引きを要求されるとか。
だからと言って無難に建物外壁に安易なラインを入れる程度ではなく、より魅力的でシンプルな働く環境を日本でも進めよう。
プロジェクトに取り組む時、先ず地域全体の風土と伝統の、その地域の支配的な特徴的ドミナンスを嗅ぎ分け、環境と製品と工場の一体化を色彩で整理し、必要な機能とイメージカラーで、先回の実践講座の「色彩パレット」をつくり、工場デザインの個性化を図ろう。
事例１：Nippo Mechatronics マレーシア KL工場のトータルデザイン
（1994年竣工）
マレーシアの大地の色とイスラムの澄んだ青と白と水景からイメージを膨らませた
マレーシアの印象は、緑豊かでスッキリとして爽やかな印象であった。イスラム信仰の国のモスクには、青い空と白の建築のイメージが以前からあった。
工場建設予定地確認に同行した時、突然一陣の風が吹き砂が舞い上がり、何らかの啓示なのだろうと、その場所が決まった。デザインに大きく関わる風土と伝統は、その土地と、大地の色と、伝統である。
その大地の色は画像のような赤であった
工場の建物外観 赤い大地に特産のパイナップルを植えた
車寄せはマレーシアの緑と水とで 和の庭園のイメージを
正面玄関は白い大理石のホールを上がり二階受付へ
２階ホールのコンセプトイメージ色彩構成 左のレセプションカウンターと赤いオブジェから工場内に入る
精密部品の工場らしく清潔な色彩構成に
社員食堂はモスクのイメージから天井を宇宙に見たて 壁面は住民に親しまれ調和する地域の色彩で豊かに
事例２：NK Mechatronics タイ バンコック工場トータルデザイン
（1992年竣工）
初めてのタイ航空のインテリアと、キャビンクルーの服装、軽食セットの色彩と、オーキッドカラーから計画のイメージが出来た。何事も伝統文化を大切にする姿勢が、トータルデザインの基本である。
機内食セットの色彩は色彩計画のイメージコンセプトに
第一工場模型
第１工場２階回廊 見学者が作業を妨げないよう色彩も暗く抑える
階段室は領域別に色彩で表示 大切な気分転換の工夫の一つになる
壁面に工場のイメージカラーの構成で活気を
暑い国にダークな色彩の建物は 不思議にも内部環境にも良い
研究領域は クールだが暖かい色彩の雰囲気に
正面夜景 何処の工場などでも敷地にスピリッツ・神様（左手前）を祀るのは物質文明と伝統の心の調和
事例３： NK Mechatronics コラート工場トータルデザイン
（1996年竣工）
色彩は環境と状況を取り持つ役割がある
技術の進歩は、色彩環境の未来にも新たな感性を必要とする。セル方式に組み立方式が変わり始め 機械も内装の構成も変化させた。
暑いバンコク郊外とは異なり、タイの軽井沢ともいう避暑地コラートの第二工場では、外構色は相変わらずダークグレーだが、工場のライン構成がバンコク工場とは変化して来たこともあり、幾分スッキリとした色彩計画に。そして茅葺の東屋のあるリクリエーション空間も作った。
休憩室壁面にいつもの色彩構成で元気を作る
製造ラインとダクトのカラー等を合わせ退屈さの無い色彩環境に
セル方式に組み立方式が変わり始め 機械も内装の構成も働きやすく変化させた
次回に続く・・・
【寄稿文】林 英光
環境ディレクター
愛知県立芸術大学名誉教授
前号の復習
ZIPANG-6 TOKIO 2020 色彩デザイン実践講座 事例３ くらしのインフラストラクチャーの デザイン・色彩 ー１【寄稿文】林 英光
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/24231738
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ZIPANG-5 TOKIO 2020
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