ZIPANG-6 TOKIO 2020デザイン・色彩実践講座 7−1 「あんなに綺麗だったのに・・・」どうする日本 内なる深き日本の美学に迫る・・・【寄稿文】林 英光


『どうする日本』
内なる深き日本の美学に迫る


一千年の伝統と現代性と未来性を備えた茶の空間と表現  福島会津若松麟閣


古代の都市政策の情熱と 「茶」 に学び大きく変わる
より美しく生まれ変わること


藤原京時代の活発な都市デザインのバイタリティに学ぼう

明治以降は国土・都市計画のない百年であったが、あったとすれば敗戦の焼け跡にGHQに支配されながらも、名古屋市が広い道路の区割りと、その真ん中に全国に先駆けてテレビ等を建てたくらいなものであろう。


概ねは、空想の域を出ない一部スター建築家が東京湾の都市計画提案などで終わり、ほとんどの建築家たちは自己の建築作品づくりに専念し、あるべき日本の国土や都市のあり方を周知を集め組織団体でのビジョンづくりの取り組みはなく、部分での対応をしてきた。

その結果が古き良きもの以外に、都市全体を示唆した例を知らない。


藤原京時代の整然とした都市デザインとバイタリティーに学ぼう




今日本が世界一悲惨な国になり始めていることは、薄々国民も気がつき始めている。問題は政治も識者も、目先の利に関心があり、次世代へのヴィジョンと対策が示せないことが国民の未来への諦めと無関心繋がっている。


そして今街に出れば、ショッピングモールなどの新たな商環境も商品も食も、色とりどりに溢れ、皆楽しそうにしてはいるが、若者の幸せ度は世界でも低いままである。


わが国の秩序のない一般的都市の醜い惨状を直視し改善しよう


日本の何処にでもある風景だが、空から地上を自由に見られる時代に、この無秩序を都市の整理整頓する政策なくして次世代の幸せはない。


政治も知識人もこの程度の低い民度を恥と思い、慈しみと麗しい環境を次世代に残すべきであろう。40兆円の軍事防衛費より、国民の心の防衛を始めよう。環境は人をつくる。


そして国際的エコノミストの2050年日本の未来予測警告から久しい今日、この現状をこのままでは日本に未来はないだろうと、ではどうする日本なのである。


建築家もデザイナーも 個人の作品造りより 40兆円の軍事防衛費より 誰もが幸せに暮らせる国土全体の未来ビジョンを


昨年改めて名古屋市市政資料館を訪ねた。もと少年鑑別所の檻房と、鉄格子のある部屋とホールさえ、神々しさが感じられる。ここには設計者の優しさと慈しみの心がみえる。


今後の都市設計の基本的思想

擬洋風のデザインではあるが、和洋の区別なく優しい心の時代の優れた手本であり、社会が都市景観の質の高さを求めることで温和な精神を育てる。


一世代前の節度あるデザイン 上は数人収用檻房 下は玄関ホールの階段下に鉄格子が見える  現在名古屋市市政資料館



こんな美しい景観の秩序の基本的手本がすでにある  善性寺


日本人が当たり前に出来た、天と地と自然背景と人工環境の秩序が見事に調和した、秩序のある都市環境づくりの施設配置の手本である。


大は(都市のシンボル的存在、城や大型建物など)、中は(公共施設など中規模景観要素など)、小は(一般的民家や商建築など)の手本である。


かって日本は前向きな国の1番手を4年も維持していたが、今や40番目になりつつある。まさにエコノミストの予測の如く2050年の世界で最も悲惨な国に向けて進んでいる。


その遠因に敗戦後占領軍GHQの方針で、日本の焼け野原の都市計画が拒否され、古き良きものや伝統を汚いものだとまでされ、排斥してきた結果が、日本人が今や何とも感じなくなった世界一混濁した無惨な日本の都市景観である。


デザイン・色彩に関わる国交省、社会環境、土木、建築、デザイン全般が、個々の作品づくりは大事だが、他に国土全体の視点から、少子高齢化、人工減少、空き家、街並み、シャター街、野放図な都市のスプロール、田園山野の荒廃、サステナブルでエコな大江戸時代の捨てるもののないことなど踏まえ、周知を集め議論する時である。


デザイン・色彩に何ができる?

たかがデザインに何ができる? と思われるであろうが、人間活動の大半を担う視覚と総合的機能を集約実現するデザイン・色彩は、目に見える形で現実に示すことが仕事である。


「あんなに綺麗だったのに」

その人を 環境を 日本を 、人間活動の大半を占める視覚のデザイン・色彩でとり戻し、その伝統の上に新たな時代を創ることになる。


伝統は文明の積み重ねの事実であり、個人の発想創作とは異なり、全く揺るがせに出来ないものである。その中で日本も、世界も、大きく変わらなければならない時に来たことは誰しも感じていると思う。


デザイン色彩で取り組もうと言う筆者も、「あんなに・・・」は女性の気持ちにならないまでも、耳が痛い言葉である。ユニークで質の高い日本文化だったが、今やビジョンのない無残な状態にある。日本は下り坂にいるのだが、今ブレーキを踏まないと、あとは筆者の様な後期高齢者のアクセルの踏み間違い状態が続くだろう。 現状の国土環境も、田園も、森も、古民家も工芸も文化全体が美への追求の本質を放棄してる美の理想を忘れた日本である。



道路空間から望む鳴海の商家 名古屋市


戦後のモータリゼーションで、街並の生垣や塀や、門扉、建物のファサードが道路拡張で失しなわれた姿が、現在の見窄らしく殺風景な日本の街並みである。


これは道路空間から、プライベートな住まいへの景観秩序を、素材、造形、色彩で見事に今に残す美しい事例である。


日本の文化の真髄は心の奥深くにあり、一見控えめな自然と一体の捨てるものない、エコロジカルでサスティナブルな極みにあり、明治以降現在に至る野蛮な戦争の世紀の物質文明から、日本がかって経験してきた平和な江戸期に学ぶことが次世代の世界のあり方であると考える。


ところで今様々な分野で、日本人より日本好きな外国人マニアが、積極的に日本の本質を見直し、実行している事例を見ることがある。人口減少、空き家、限界集落、それらを冷静に予知した国際的エコノミストの2050年予測警告から久しいが、それに答えるあり方を示してくれているように思う。


日本人が美しく見える環境づくりの手本は 「茶室」 にあり 

それは日本人が美しく見える環境と人の所作の総合デザインの復活である。


現在日本人が世界一服が似合わない国民と言われる所以は、とりまく混乱した環境にその原因がある。


明治の洋風、戦後のアメリカナイズ、そして目まぐるしく変わる表層の流行で、容姿と服装と環境がごちゃごちゃであるのは当然である。


諸外国では時代は何が変わろうが、行って見ると上手くその国らしさが感じられ魅力的である。国土から田園 都市 街並み 建築 庭園、室内、まさに心静まる丁度良い空間と調度を現在に活用すれば、まさにそれは世界に通用する。


その原点は一千年に渡り工夫を重ねて来た茶の伝統にあり、その典型的文化の総合の集約が、世界に広まった茶道にはあり、一椀から世界平和の思想に帰する。


人体モジュール尺貫法の活用が心の文明をつくる  

美しい環境づくりに今私たちに出来ることは、世界を視覚で見る人の心の取り組みと、今一つは明治と太平洋戦争の敗戦で禁止されて来た、日本の美しい人体モジュールである尺貫法の活用にある。


雪舟寺芬陀院茶室を庭園から見る。なんとシンプルで強烈なモダンデザイン。


足立美術館 茶室

尺貫法の世界は、床壁天井明かり取りなどすべてが安らぎの空間づくりにあり、人の肌合いと暮らしと同時に、森羅万象を感じる宇宙的な未来環境が室内にある。白黒グレー自然素材色の極みのような複雑な魅力が語りかけてくる満ちたりた空間である。


小布施新生礼拝堂の一角にある平和な構成

尺貫法の延長は細い障子の桟まで一貫して伝統の直線素材構成と、部分的に大小のカーブを用いたなんと見事で繊細な構成。和洋折衷と言って良い、伝統美の構成に思わず立ち止まった。宇宙もメートル法でなく尺貫法で出来ているのかも。



次回に続く・・・


デザイン・色彩実践講座 7−2

英雄という人類の概念を変える


今また戦争が始まった なんとも幼稚な進化のない人類であることか概念からを変えよう 

人は大勢殺した人を英雄という、この間違いを正すことを共有しよう。
国内では女・子供の区別なく信長が、国外出兵では秀吉は戦いの評価に耳や鼻を切り取り塩漬けにして送らせ、世界ではアレキサンダー、始皇帝、ナポレオンなどがどれほど自己の権力欲のために多くの命を奪ったか、逆側の立場からどれほど憎く悲しくとても称賛の対象とはいえまい。

人が平和を願うなのら まず他の立場、自然と生きものへの慈しみだけが未来を創る・・・



【寄稿文】林 英光



環境ディレクター
愛知県立芸術大学名誉教授
東京藝術大学卒業


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発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)



アーカイブ リンク記事をご覧ください。


川越氷川神社時の鐘  夕方


川越は室町時代後期に太田道真、道灌親子が基礎を築き、江戸時代初期に城下町として整えられた。以来、舟運などにより商業都市として繁栄した。

町割は寛永年間(1624~1643)の形態をほぼ継承し、保存地区は近世初期以来の町人地の枢要部にあたる。町並の景観は、明治26年の大火後に建築された外壁を黒漆喰塗とした蔵造の商家建築が主役である。


ZIPANG TOKIO 2020 「蔵造りの町並みにシンボル 時の鐘、小江戸川越の、当時の面影をみた! 文化庁 重要伝統的建造物群保存地区」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/2734535



縁結びの神さま 川越氷川神社 


創建以来1500年、縁結びの神さまを祀る

川越氷川神社は、今からおよそ1500年前の古墳時代に創建されたと伝えられます。 室町時代の長禄元(1457)年、太田道灌が川越城と江戸城(現在の皇居)を築城して以来、城下の総鎮守として崇敬されました。

 ご祭神として二組の夫婦神様と家族の神様をお祀りしていることから、 「縁結びの神さま」「結びの神さま」「家庭円満の神さま」として信仰され、 神前で結婚式を挙げることができます。


ZIPANG TOKIO 2020「川越氷川神社創建の由緒にさかのぼる『氷川神社例大祭・神幸祭』山車行事は国の重要無形民俗文化財に指定」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/2729770




秋田県にかほ市では「子ども・子育てに寄り添うまち」の施策を市内外に広くPRし、本市の潜在的な魅力をアピール、さらに移住・定住希望者の拡充を図るシティプロモーションを実施しています。

「メディアラボ」はこのプロモーションの一環として、若者が地域の情報発信について学ぶとともに、同市の中で受け継がれている想いや伝統・眠っている価値を発掘し、未来の子育て世代・後世へと繋いでいくことを目的に発足しました。

現在、地方創生や都市・地域を繋ぐコミュニティづくりに関心を持つ東京・秋田・名古屋の大学生メンバーが、広報研修・事前調査、にかほ市で活躍する人々へのインタビュー、現地フィールドワークなどのインプット(学び)から、プレスリリースやSNSでの発信、イベントの開催などのアウトプット(発信)まで、メディアを通じた地域の魅力発信、交流・関係人口の創出について実践的に学んでいます。


ZIPANG-6 TOKIO 2020「未来の子育て世代」に向けたPRを実践する秋田県にかほ市、地域の魅力とは❣
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ZIPANG-6 TOKIO 2020

これまでの、日本の精神文化と国土の美しさについて再発見に加えて その1. 全世界との情報の共有化 その2. 偏り、格差のないローカリティの尊重! その3. 美しきものへの学び、尊敬、関心を高める教育と推進

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