ZIPANG-6 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その46)境界型の姥神たち・山形市内・・・【寄稿文】廣谷知行

境界型の姥神たち・山形市内

その8で山形県蔵王連邦の周辺の姥神たちを紹介しましたが、その蔵王連邦の西にある瀧山、そしてその近辺にもいくつかの姥神が祀られています。

それらを含め、山形市内の姥神を紹介します。


【山形県山形市】


・瀧山

 

瀧山の姥神像


瀧山の姥神像


標高1,362mの瀧山は、蔵王連峰のなかでも山形市街から同連峰を見た時に一番手前に見え、古くから霊山として信仰を集めた山でした。麓には西蔵王高原があり、展望広場からは山形市街全体が見渡せ、夜景スポットにもなっています。


その山頂にある瀧山神社への登山道途中に姥神像があります。ルートが複数あるためか2体あり、どちらも境界―姥神型として祀られたと考えられます。


・平泉寺


平泉寺の姥神像


瀧山から西、山形市街へ向かうと平泉寺があり、その境内に姥神像があります。この像は大日堂への参道入口にありますので、境界―姥神型として祀られたと考えられます。


なお、瀧山と平泉寺の間にはその43で紹介した南瀧山不動尊と姥神像もあります。どちらも瀧山に近いため、同山にある姥神像を模して祀られた可能性があります。


・岩波地区

 

岩波の姥神像


平泉寺の近く、岩波地区の集落内にも姥神像があります。周りには民家しかありませんので、平泉寺もしくは瀧山への境界として祀られた可能性があります。そうだと考えた場合、境界-姥神型として祀られたことになります。


・王子堂

 

王子堂の姥神像


瀧山の北、蔵王ダムへ向かう途中、王子堂に王子権現が祀られ、その境内に姥神像があります。境界-姥神型として祀られているのだと考えられます。


・無量寺

 

無量寺の姥神像


双月町に無量寺があり、その境内に姥神像があります。近くの道路工事のため削られた盃山にあったものを移したものです。もともとは山にあったこと、現在も境内の入り口にあることから境界-姥神型として祀られたと考えられます。


・伊豆神社

 

伊豆神社の姥神像


大野目町に伊豆神社があり、その境内に姥神像があります。入り口側にありますので、境界-姥神型として祀られたと考えられます。


・花楯

 

 花楯の姥神像


花楯に、井戸の中から見つかったとされる姥神像を祀ったところがあります。姥神だけを祀っていますので、本尊-姥神型として祀られたと考えられます。


・大岡山

 

大岡山の姥神像


楯山地区にある大岡山は地域のシンボルとして古くから親しまれてきました。この山、山頂付近の登山ルートが交わる箇所に姥神像があります。登山道の途中にありますので、境界-姥神型として祀られたと考えられます。


・錦町

 

錦町の姥神像


錦町にある山形三十三観音の29番、大聖院に姥神像があります。観音堂の外にありますので、境界-姥神型として祀られたと考えられます。


山形市内の姥神は街中の神社、お寺などにもよく見られることから湯殿山を模して山寺や地域の霊山に広まった姥神信仰が、さらにより身近な町の中の神社や観音堂などにも広がりを見せていったことがうかがえます。



参考(関連情報)


ZIPANG-3 TOKIO 2020~全国の姥神像行脚(その8)~蔵王「女人禁制の姥神像とは」・・・【寄稿文】廣谷知行
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/6608101


ZIPANG-6 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その43)境界型の姥神たち・不動尊と共に 【寄稿文】廣谷知行
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/36370376/



次回に続く・・・


寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。

発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)



アーカイブ リンク記事をご覧ください。


日本遺産認定 出羽三山

               出羽三山 羽黒神社


石段参道

羽黒山の入口、随神門をくぐり参道に入ると、ふっと空気が変わるのを感じるでしょう。敷き詰められた石畳の階段を下れば、遠くからせせらぎが聞こえてきます。参道沿いに立ち並ぶのは、樹齢350年から500年を越す老杉。その中へ歩みを進めると、清々しさに満たされてくる―これが山頂まで1.7km続く、羽黒山の参道。新たに生まれ出るための産道と伝えられる山道です。 (photo by Kagioka Ryumon )


左から羽黒山(現世)、月山(過去・死)、湯殿山(未来・再生)


出羽三山の概念

出羽三山に限って、その思想、哲学は誠に明快ながら奥深く、壮大、無限で、その考え方はいつの世でも万人に通じる真理があります。 

現代にあって益々その存在に目が向けられている奈良の三輪山(大神神社)と同様に、この山形県の古代出羽国でも神体山信仰(神名備型山容=神が鎮座する聖山)、自然崇拝など“敬神崇祖”とされる慣わしがありました。

その基となるのが端山信仰※と云われる習俗でした。

※端山信仰とは 地元には、古来よりアニミズムとされている端山信仰と謂われる慣習には 死後49日間、人の魂はその家に留まって家族を見守り、その後、生家近くの低いお山(端山)に移り、33回忌(33年間)迄の間、集落の安泰繁栄を見守ります。

そして、その務めを終えると、死者の魂はその背後に聳える高山に昇り、より高い次元で神仏のお側に籠ると信じられて来ました。

出羽三山信仰では 山中においては現在→過去(死)→未来( 再生)とする流れで、修行の意味付けが構築されています。

つまり、 羽黒山、月山、湯殿山という三山を現世ー過去ー未来に見立て、修行の行程も <現在の自分>ー<祖先・過去>ー<未来・再生>という時空間を体験する修行なのです。

この三山はそれらの何処の場所に立ってもその領域があまりにも広大で、それら全体を一望することは出来ません。従って、理屈のみではこの概念の会得は難しい話になるかも知れません。修験道における行は自らの足で体験してこそ、初めて感得できるものなのでありましょう。


ZIPANG TOKIO 2020「そびえる山の厳しさに山伏たちの姿が浮かぶ! 日本遺産認定 出羽三山」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/1383261


世界に通じる日本古来の食文化が蘇る



月うさぎ膳

かつて三山登拝者へ提供する料理には、だし汁にも生臭物は一切使用しませんでした。それは殺生を嫌う山の神や仏の怒りを避けるためで、無事の三山参りを願ってのことでした。

世界中の宗教に於いては、やはり調味料であっても肉・卵・魚類の節・乳製品などを一切使用しないという物もあり、「月うさぎ」はどんな宗教の人でも食することができる料理です。

多種多様の調味料が溢れ、素材本来の美味しさから遠ざかって久しい今だからこそ、本来の味を楽しんでみませんか。

※羽黒山斎館で1日限定30食、湯殿山参籠所で1日限定20食のメニューになります。



出羽三山の精進料理

山の恵みをいただき、伝統の技法によって丁寧に手間をかけて調理される出羽三山の精進料理。出羽三山に参拝する人々は、精進料理をいただき身を浄め、山へ向かう準備を整えるのです。

出羽三山の精進料理は、羽黒山山頂にある斎館、羽黒山麓の手向(とうげ)宿坊街で召し上がることができます。


ZIPANG-5 TOKIO 2020 出羽三山神社の精進料理 &食育推進フォーラム2021 開催【農林水産省】
https://tokyo2020-5.themedia.jp/posts/13463561



※イメージ写真

山形 白鷹町の奥まった地区にひっそりと佇む、元古志王族の祠(©日原もとこ)


雪は山々や広大な山形の自然の美しさに、さらに素敵な魅力を与えてくれているのですから。私の山形への関心は、言うまでもなく、自然の美しさに留まりません。

私の学者としての経歴のはじめに、円仁(慈覚大師)の日記の翻訳や研究に多くの年数を費やしました。

円仁は日本の僧侶で、9世紀に10年にわたる中国留学の間、日記を書き続けたのです。後に円仁は山形に寺を築き、その遺品は山形の歴史的財産になっているのです。もちろん、それらは私にとって興味深いものです。

山形の人々もまた魅力的です。外国人があまり訪れないので人々は外国人の訪問客には新鮮な気持ちで親切にしてくれます。


私は友人から日本でどこを見るべきかと尋ねられると、きまって踏みならされた道から一歩はずれてみるように勧めます。もちろん、東京や大阪などの大都市は日本の縮図であるから見るべきであるし、日本の歴史を残す京都や奈良のようなところも見逃せません。しかし、私は強く言いたいのです・・・


ZIPANG-2 TOKIO 2020「山の向こうのもう一つの日本【寄稿文】日原もとこ」
https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/4539875



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ZIPANG-6 TOKIO 2020

これまでの、日本の精神文化と国土の美しさについて再発見に加えて その1. 全世界との情報の共有化 その2. 偏り、格差のないローカリティの尊重! その3. 美しきものへの学び、尊敬、関心を高める教育と推進

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