ZIPANG-6 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その44)境界型の姥神たち・葉山近隣 【寄稿文】廣谷知行


その42で紹介した月山の東隣にある葉山。昔は出羽三山のひとつとされたこともあり、登山道の途中に姥神も祀られています。その葉山の麓にもいくつかの姥神像が祀られていますので今回はそれらを紹介します。


【山形県河北町】


・沢畑①

 


河北町の沢畑地区に、四国八十八箇所を勧請した里山があり、この奥に姥神像があります。この山の向こうには葉山が続いていることから、葉山信仰の影響で置かれたと考えられ、境界-姥神型として祀られたと考えられます。


・沢畑②



同地区にはもうひとつ、前述の近くに岩の上に鎮座した姥神像があります。奥には滝が望める遊歩道があるほか葉山に続いている、もしくは前述の四国八十八箇所を勧請した里山の手前であることから、境界-姥神型として祀られたのだと考えられます。


・東町公民館

 


河北町の東町公民館に、姥神像があります。他に、庚申塔、不動明王像が一緒にあることから、地域の石仏を集会所に集めたのだと考えられます。もともとは、この姥神像も葉山信仰に関係して境界-姥神型として祀られていた可能性が高いと思われます。


・高福寺

 


河北町の高福寺に姥神像が祀られています。葉山信仰と関係があるかどうかはわかりませんが、境内のお堂の手前に祀られていることから、境界-姥神型として祀られているのだと考えられます。


【山形県大石田町】


・向川寺

 


山形県大石田町の向川寺、その裏山に姥神像があります。この山の向こう側に葉山がありますので、葉山信仰に関係して境界-姥神型として祀られたと考えられます。


【山形県村山市】


・大鳥居

 


村山市の大鳥居地区に姥神像があります。頭は無く別の石が付けられ、だいぶ破損していますが、強調された乳房と片膝を立てた姿が見て取れるため、姥神像だと推察できます。この地域についても、葉山の登山口となっていますので、葉山信仰に関係して境界-姥神型として祀られたと考えられます。


・大滝根愛宕神社

 


村山市大滝根地区、愛宕神社の境内入り口側に姥神像が祀られています。これは葉山信仰とは関係ないかもしれませんが、葉山を含む湯殿山の祀り方を模して境界-姥神型として祀られたと考えられます。なお、この愛宕神社のもの、先の大石田町向川寺、その43で紹介した村山市中澤不動尊と尾花沢市荒楯不動尊のものが同じ造形であり、また、やや磨耗してわかりづらいですが、先に紹介した河北町東町公民館と同町高福寺のものも同じ造形かと思われ、同一の石工により多数の像が造られたことが推察されます。


・白山神社

 


村山市大槙にある白山神社。その境内入り口側に姥神像があります。これも葉山信仰とは別ですが、その祀り方を模して境界-姥神型として祀られたと考えられます。


【山形県東根市】


・舟形山

 


さて、葉山近隣ではないですが、東根市にある舟形山は、集落を挟んで葉山の向かい側、山形県の宮城県の境にある山です。この山の山形県側の登山道途中に、姥地蔵と呼ばれる姥神像があります。葉山などと同じように、里山への信仰心から境界-姥神型として祀られたと考えられます。


・若木神社

 


東根市の若木山の麓にある若木神社。ここに姥神像があります。以前は若木山の上にあったとのことなので、これも里山への信仰心から境界-姥神型として祀られていたものと考えられます。


山形県村山地方では湯殿山や月山の信仰が民間にも簡略化して広まったと考えられ、その43の不動明王と同じように地域の里山にも姥神を祀る風習が根付いたのではないかと考えられます。



次回に続く・・・


寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。

発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)



ご参考


ZIPANG-6 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その42)境界型の姥神たち・月山周辺地域 【寄稿文】廣谷知行
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/35624589




山形県 アーカイブリンク記事をご覧ください。




鶴布山珍蔵寺は、鶴女房の夫だった金蔵が仏門に帰依したのが開基という伝承となっており、鶴の毛織物が寺の宝にされていたという言い伝えが残されています。伊達政宗の時代にはすでに名刹として知られていました。境内は山門と庭園が調和し、禅寺の雰囲気が色濃く、心が洗われるような気がする空間です。また寺の梵鐘にも鶴の恩返しが浮き彫りにされています。


ZIPANG TOKIO 2020「日本で最も古い 南陽市の民話と伝説『鶴布山珍蔵寺縁起(鶴の恩返し)』宝物は 鶴の羽で織った織物」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/2014926



※現在、1800件余の記事掲載、下記のサイトからご覧ください。


最新の記事をご覧いただけます。

ZIPANG-6 TOKIO 2020 (VOL-6)
https://tokyo2020-6.themedia.jp/


最近の記事をご覧いただけます。

ZIPANG-5 TOKIO 2020 (VOL-5)
https://tokyo2020-5.themedia.jp/


250件ほどの記事をご覧いただけます。

ZIPANG-4 TOKIO 2020 (VOL-4)
https://tokyo2020-4.themedia.jp/


235件ほどの掲載記事をご覧いただけます。

ZIPANG-3 TOKIO 2020 (VOL-3)
https://tokyo2020-3.themedia.jp/


200件ほどの掲載記事をご覧いただけます。

ZIPANG-2 TOKIO 2020(VOL-2)
https://tokyo2020-2.themedia.jp/


615件ほどの掲載記事をご覧いただけます。

ZIPANG TOKIO 2020 (VOL-1)
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/

ZIPANG-6 TOKIO 2020

これまでの、日本の精神文化と国土の美しさについて再発見に加えて その1. 全世界との情報の共有化 その2. 偏り、格差のないローカリティの尊重! その3. 美しきものへの学び、尊敬、関心を高める教育と推進

0コメント

  • 1000 / 1000